みそパンとカレーパンで有名な下北沢の老舗パン屋、アンゼリカ。2017年7月31日に50年の歴史に幕を閉じた。ふとした瞬間に思い出すみそパンとカレーパン。そんな懐かしい思いに駆られてここに記していきたいと思う。
アンゼリカとは
改札を出て下北沢南口商店街を歩いていると、どこからともなくパンの良い香りが漂ってきた。下北沢駅から徒歩2分くらいのところに緑色の屋根が目に入る。コック帽を被ったかわいいイラストとともに「アンゼリカ」のロゴ、良い香りの主はこのお店である。
コック帽のイラストは先代の似顔絵であり、日本を代表するイラストレーター水森亜土が描いたもの。よくよく見ると亜土ちゃんお得意の猫のミータンも描かれており、ほっこりする。このイラストは、お店の袋にもプリントされていた。
アンゼリカを代表するパンといえば、みそパンとカレーパン。下北沢の名物パンといっても過言ではない。
みそパンは温かいうちに食べるのが鉄則。電子レンジで少し温めてからでも良い。とにかく少し温かいくらいで食べるのが一番おいしいと思う。それはなぜかというと、温かいうちにパンを割るとほわっと味噌の香りが広がり、味噌の香ばしい風味をより味わえるからである。
カレーパンは、ベーシック、スパイシー、旨辛など複数の種類が並んでいた。カレーパンのルウは毎朝4時から厨房で仕込んでいたという本格派のものだ。このカレーパンは、戦後を代表する時代小説・歴史小説家の池波正太郎の大好物だったらしい。
アンゼリカのカレーパンにはハマるおいしさがある。そのおいしさの秘訣は、季節の果物などを入れて時期によってちょっとずつ味を変えているからであるという話をどこかで聞いたことがある。夏と冬で食べ比べて見たかったなぁとやや後悔が残る。
惜しまれつつ閉店した2017年
2017年7月31日、アンゼリカは50年の歴史に幕を閉じた。店主や社長の他界などの理由で営業継続が難しくなったため、閉店を決めたとのこと。地元の人にも観光客にも人気だったパン屋さんが閉店してしまうのはとても寂しいことだ。7月半ばごろにお店を訪れた時は長蛇の列ができていた。閉店してしまう前にもう一度アンゼリカのパンを食べたい!という客の足が絶えなかったようで、通常であれば割と空いていた平日のお昼すぎであっても、行列が続いていたようだ。最後の最後まで皆に愛されていたアンゼリカ。閉店してしまったことがとても悲しい。
食べログを見ると写真やレビューがたくさん載っていて、当時が懐かしい。ちくわパンもおいしかったなぁ。
アンゼリカの暖簾分け店が長野県にある!?
もう一度アンゼリカのパンを食べたいのになぁと思っていた矢先、アンゼリカの暖簾分け店が長野県松本市にあるという話を耳にする。下北沢のアンゼリカで修行していた方が2015年5月に開いたパン屋らしい。お店の名前は「アンゼリカ」、下北沢と同じ名前である。
お店の外観は下北沢のアンゼリカと異なるが、ここにはあの、みそパンもカレーパンもある。2階がカフェスペースになっており店内で食べることもできるため、長野へ行った際にはぜひ立ち寄りたいと思う。
長野のアンゼリカの詳細は下記。
住所:長野県松本市中央3-1-25 (松本駅から徒歩約10分)
営業時間:7:00~18:00
定休日:無休